こんにちは!VOC事務局です。

開発を外注したい——そう考え始めたとき、まず最初に立ちはだかるのが「契約形態」という壁かもしれません。
「請負?準委任?ラボ型って何?」という疑問に直面した方も多いのではないでしょうか。
とくに、オフショア開発においては日本国内と異なる商習慣も絡むため、混乱しやすいポイントの一つです。

この記事では、初めて外注を検討する方に向けて、オフショア開発の主な契約形態についてわかりやすく解説し、それぞれの特徴や向いているケースを整理していきます。

▼契約形態に関して、よくある疑問をまとめたFAQ記事も併せてご覧ください▼
【FAQで解説】オフショア開発の契約形態とは?ラボ型・請負型の違いと選び方

この記事はこんな人にオススメ!

  • オフショア開発に興味はあるが、「ラボ型」「請負型」など契約形態の違いがよく分からない
  • 初めて開発を外注しようと考えており、どの契約スタイルが合っているのか判断に迷っている
  • 社内の意思決定を進めるために、契約ごとの特徴や注意点を整理して理解しておきたい

開発契約の「型」はどう違う?

開発を委託する契約形態にはいくつかの種類がありますが、大きくは「請負型」「準委任型」「ラボ型」の3つに分けられます。
それぞれ、発注者と受注者の間でどこまで責任を持ち合うのか、進め方はどれくらい柔軟か、コストの考え方はどうかといった点に違いがあります。

たとえば「請負型」は、納品する成果物があらかじめ明確に定義され、それを完成させることが契約の目的になります。
対して「準委任型」は、エンジニアの作業時間や対応業務をある程度柔軟に管理する形式で、継続的な保守や運用といった業務に向いています。
そして「ラボ型」は、その中間に位置するような形で、一定期間・一定人数のチームを確保しつつ、自社の一部のような感覚で活用できるという特徴があります。

請負型は“完成品”を買うイメージ

まず「請負型」について見てみましょう。
これは「この仕様のシステムをこの期日までに納品してください」という形式で契約するスタイルです。
見積もりも納期も成果物もすべて事前に決めたうえで、発注者はそれに対して報酬を支払うことになります。
したがって、あらかじめ何をどう作るかを綿密に設計しておく必要があります。

この形式は、一度要件が固まればあとは手離れ良く進められるため、小規模なアプリ開発や短期集中型のプロジェクトに向いています。
ただし、途中で仕様変更が発生すると追加費用やスケジュール再調整が必要になるため、柔軟性にはやや欠ける側面があります。
また、オフショア開発で請負型を選ぶ場合は、伝達ミスや認識のズレによる“完成品のズレ”が起きないよう、綿密な要件定義が必要です。

準委任型は“人を借りる”感覚に近い

一方で、「準委任型」はもう少し柔軟な形態です。
完成物に対して支払うのではなく、「ある業務を一定時間担当してもらう」ことに対して報酬が発生します。
契約上は時間単価×作業時間での精算になるため、プロジェクトの進行中に仕様が変わる可能性がある、あるいは要件が完全に固まりきっていないようなケースに適しています。

この形式は、保守運用業務のような継続的な対応が必要な場合や、開発と並行して仕様を詰めていくようなアジャイル型の開発スタイルにもマッチします。
日本企業では「常駐SE契約」や「業務委託契約」に近い感覚とも言えるでしょう。

ただし、進捗や成果が時間ベースで評価されるため、プロジェクト管理側の負担は比較的重くなります。
また、信頼できるパートナーを選ばないと「時間は使ったが成果が出ない」といったことにもなりかねません。

ラボ型開発は“自社チームのように”活用できる

そして、最近注目を集めているのが「ラボ型」と呼ばれる開発契約です。
これは、一定期間・一定人数の専属チームをオフショア先に設け、そのチームが自社の開発案件に継続的に対応するというスタイルです。
言い換えれば「海外に開発拠点を持つ」ようなイメージに近く、自社の一部としてチームを育てながら開発を進められるのが大きな特徴です。

たとえば「まだ仕様は固まっていないが、MVPを作りながら検証したい」「エンジニア採用が難しいので、外部にチームを持ちたい」といった場合に、ラボ型は非常に柔軟で現実的な選択肢になります。
実際、ベトナムを中心とするオフショア企業では、日本企業向けにラボ型開発を提供しているところも多く、文化的・言語的な適応も進んできています。

もちろん、契約期間が長期になるぶん、パートナー選定や立ち上げ時の体制設計は重要になります。
しかし一度軌道に乗れば、社内リソースのようなスムーズなやり取りが可能になり、コストとスピードのバランスをとった開発体制が実現しやすくなります。

どの契約形態が正解?選ぶときの考え方

では、最終的にどの契約形態を選ぶべきなのでしょうか?
その答えは「プロジェクトの内容やフェーズによって変わる」というのが正直なところです。

もし「この機能をこの日までに完成させたい」という明確なゴールがあり、仕様も固まっているなら、請負型が最も分かりやすく適しています。
一方、「今あるシステムの保守をお願いしたい」「要件を詰めながら開発したい」といった場合には、準委任型の方が融通が利くでしょう。
そして「外注だけど、もっと自社っぽい体制で柔軟に進めたい」「長期的に一緒に成長するチームがほしい」といったニーズには、ラボ型がマッチします。

外注に“正解”があるわけではありません。
大切なのは、「いまの自社にとって、どの形が一番ストレスなく目的を達成できそうか」という視点を持つことです。

まずは小さく試してみるという選択

初めての外注、初めてのオフショア開発。
だからこそ、「どれが正解か」と考えすぎて、なかなか前に進めないこともあるかもしれません。
そんなときは、まずは小さな案件から試してみるのも一つの方法です。

たとえば、「既存システムの一部モジュールだけを準委任で依頼してみる」「プロトタイプ開発をラボ型で立ち上げてみる」など、小さくスタートすることで、自社に合う契約形態やパートナーのスタイルを肌で理解することができます。

そしてその経験をもとに、次はもっと大きなプロジェクトへとつなげていく。
外注・オフショア開発は、一足飛びに完成形を目指すのではなく、段階的に信頼と知見を積み重ねていくものです。

まとめ:事業に合った契約形態を選択しよう

オフショア開発における契約形態の違いは、単なる契約書上の用語の違いではなく、開発体制そのものに大きく影響を与える要素です。
初めての外注を検討する際には、「請負」「準委任」「ラボ」といった違いを知ることが、失敗を防ぎ、成功に近づく第一歩になります。

もし「どの契約形態が自社に合っているのか分からない」と感じたら、まずは信頼できる外注先や支援団体に相談してみるのも良いでしょう。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました!

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【FAQで解説】オフショア開発の契約形態とは?ラボ型・請負型の違いと選び方

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